ABテストとは?テスト方法と注意点を合わせて解説

Web業界でよく使われる「ABテスト」。「ABテストって名前だけ知ってるけどよくわからない」という方も多いと思います。

ABテストはWebマーケティングにおいて効果的な分析手法です。今回はABテストの概要や、使用するメリット・デメリットを解説していきます。

ABテストとは

ABテストとは、Webマーケティングの施策効果を検証するためのテスト手法の一つです。主にWebサイトやランディングページの改善などに用いられます。

Aパターン、Bパターンと、ページの一部を変えたものをランダムに表示し、ユーザーの反応を見るテストです。反応率を検証して良かった方を採用し、改善を繰り返していきます。

A・Bパターンだけでなく、複数のパターンを組み合わせる「多変量テスト」を行う場合もあります。

ABテストのメリット

ABテストの最大のメリットは、大規模なリニューアルをすることなくテスト結果を検証できる点にあります。

Webサイト自体を作り直すとなればかなりの予算と工数が掛かります。ですが、キャッチコピーやボタンのデザインを変えるだけなら、大幅にコストを減らすことができます。

また、ABテストを行わずにWebサイト自体やページそのものをリニューアルした場合、良い結果が出たとしても、どこを変えたことで効果があったのかということが分からず、再現性が得られません。結果が悪かった場合は損失が甚大になってしまいます。

ABテストのデメリット

ABテストは有効な分析手段ですが、デメリットも存在します。テストの方法次第では、検証結果が本当に正しいかの判断が難しくなります。

例えば早く結果が欲しいからと複数箇所を一度に変更してしまうとどこがボトルネックだったのかが分かりません。また、データが取れたとしてもいろいろな解釈ができてしまう場合があり、具体的な改善に結びつかないことがあります。

そして、正確な分析をするためにはテストの実施回数にある程度の母数が必要です。テストするWebサイトのアクセス自体が少ない場合や、テストの実施期間が短すぎる場合は有効なデータが測れないことがあります。

ABテストの有名な事例

有効なWebマーケティング手法としてABテストが世に認知されるきっかけとなった事例を紹介します。

アメリカ合衆国のオバマ元大統領の事例です。オバマ元大統領の人気を後押しした要因の一つに巧みなインターネット戦略があるといわれています。

オバマ元大統領は自身のWebサイトでABテストを行いました。寄付金を集めるページで4つのボタンと6つの異なるメディア(画像×3、動画×3)を組み合わせた「多変量テスト」を行い、CVRが一番高かった組み合わせを採用しました。

それにより1.4倍のコンバージョンが獲得でき、寄付金が6000万ドル増加したといわれています。

ABテストを行う際の注意点

予算と工数を抑えて効果検証が行えるABテストですが、実施する上で注意しておかなければいけないポイントがいくつかあります。

これらのポイントをよく理解しないままABテストを行った場合、思ったほどの成果が得られないか、無駄な手間をかけてしまうことになりかねません。ABテストを行う際の注意点を解説します。

あまり多くのパターンで実施しない

ABテストを行う場合、一か所に絞ってテストを行うのがいいでしょう。変更点が複数あった場合、結果に影響を及ぼす要因の特定が難しくなります。

また、一度にテストするパターンを絞ることも重要です。大量のアクセスが見込めるWebサイトであればそれほど気にする必要はありませんが、アクセス数が少ないWebサイトの場合はデータの蓄積に時間がかかり、効果検証の期間が長くなってしまいます。

例えばリスティング広告などの広告文は、用意するパターンを2~4つ程度に絞ってテストすることが効果的です。テスト内容やアクセス数によって適切な回数は変わります。

テスト前に母数を決めておく

ABテストを行う際は期間ではなくサンプルの母数が重要です。分析をしっかり行うためにはテスト基準を予め決めておく必要があります。

サンプル数を集めるスパンを期日で定めた場合、検索数の多いキーワードであればすぐにデータが集まりますが、検索数の少ないキーワードではデータの蓄積が十分にできません。

また、序盤には違いがはっきり出ていたデータが、終盤には逆転していたケースなどもあります。ABテストを実施する場合は期間ではなく、参考にするサンプル数で比較することで結果が見えやすくなります。

効果の出やすい部分からテストする

Webサイトやランディングページには、改善による効果が出やすい部分とあまり大きな効果が期待できない部分が存在します。

ABテストを行うのであれば、大きな改善効果が見込める部分から実施していきましょう。

状況によりますが、最も改善効果が出やすい部分がファーストビューです。多くのWebサイトの問題がサイトアクセス数に問題がある場合がほとんどだからです。

ファーストビューを適切に改善することで、Webサイトに訪れたユーザーの離脱率減少につながります。ファーストビューの画像、キャッチコピー、アクションボタンの順番にテストしていくのがいいでしょう。

おすすめのABテストツール

ABテストツールには多くの種類があります。無料のものと有料のものがあり、機能もツールによって異なります。

どのツールを使ったらいいか分からないという人のために、お勧めのABテストツールを紹介します。ぜひ参考にしてください。

Google Optimize(グーグルオプティマイズ)

Google OptimizeはGoogleが提供するABテストツールです。Google Optimizeの特徴は無料で使えるツールというところです。

無料でありながら複数のテストを同時に行う「多変量テスト」や、ページ自体を既存LPと入れ替える「リダイレクトテスト」など、ABテストに必要な機能を備えています。

Googleの公式ツールであることから、Google Analyticsなどと連携することができ、同じ画面で使用することができます。

DLPO(ディーエルピーオー)

DLPO株式会社が販売する国産の有料ABテストツールです。国内で一番導入されており、豊富な実績を誇っています。

DLPOは自由度の高い「パーソナライゼーション機能」でユーザーに合わせたページを表示することができます。「多変量テスト」も豊富なパターンで行うことができます。

ユーザーサポートが充実しているところも魅力のツールです。

Optimizely(オプティマイズリー)

Optimizely は世界No.1 の導入実績を誇るABテストツールの代表格です。アメリカで開発されたツールですが日本語にも対応しています。

サイトだけでなくネイディブアプリにも連携できるという強みを持っています。また、直感的に操作できABテストを簡単に行うことができます。

Adobe Target(アドビターゲット)

デザインソフトで有名なAdobeが販売するABテストツールです。Adobe Targetは統計モデリングより多彩なバリエーションのABテストを行うことができます。

また、Adobe Targetはターゲティング機能が優れていることもポイントです。様々な条件で自由にターゲティングを行うことができるツールです。

まとめ

今回はABテストの説明やABテストツールを解説しました。オバマ元大統領の事例からも分かるように、少しの改善で大きな効果を期待できる有効なテストです。

ABテストを導入したことがないという方は無料で使えるツールでもいいのでABテストツールを導入し、自社のサイトやランディングページの改善に役立てていきましょう。

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