SEOは『オワコン』ではない。ユーザーファーストを追及・進化した結果『新しい姿』となった。

こんにちは。PROJECT GROUP株式会社の栗本です。今日は「SEO」をテーマに取り上げていきたいと思います。

皆さんもご存知であるとおり、SEOとは「Search Engine Optimization」。日本語にすると「検索エンジン最適化」です。インターネットの進化によって、企業は自社サイトを持つことが当たり前。「個」としての存在をネット上で確認できなければ、半ば社会的に存在が認められないような昨今です。

デジタル社会が確立され、各企業はインターネット集客にこぞって参入。その中でも特に低予算で始められるのが「SEO」。企業でなくとも個人でブログを開設し、アフィリエイトを通して副収入を得るライフスタイルを確立したのもSEOでした。

いずれにしてもSEOに従事する人は検索結果の1位、もしくは1ページ目に自身のサイトが掲載されるように日々奮闘しています。そんな「SEO」でしたが、現在では『オワコン』と評されるようになっています。実際問題どうなのでしょうか。

SEOが『オワコン』と言われる事の発端


既知の方も多いとは思いますが、改めてSEOが『オワコン』と言われる事の発端を振り返ってみます。

事の始まりは2020年5月5月。SEO担当者にとっては“恐怖の恒例行事”でもある「Googleコアアルゴリズムアップデート」。これが過去最大級の順位変動を見せたのがキッカケです。

流入数が50%減少

サーチコンソール
私が担当していたメディアを例に取ると、アップデート日を境に流入数は50%減少、ある記事の順位は1位→80位まで下降、YMYLに関係する記事(収益性の高い記事)の順位は軒並み大幅下降など。特にアフィリエイトサイト・ブログへの影響は非常に大きく、SEOに携わる多くの人が「死活問題」となりました。

これによってネット掲示板では「SEOはオワコン」「ブログに記事を書けばいい時代は終わった」などの声が発せられるようになります。費用対効果を考え、SEO事業を撤退せざるを得ない企業も出てくる状況となり、Web業界が揺れる事態となりました。

※YMYL:「Your Money or Your Life」の略語。Googleの検索品質評価ガイドラインに記載されている「人々の人生(金融・幸福・健康)に影響を与える可能性のある情報」のこと。

SEOはユーザーファーストを追及・進化した結果『新しい姿』となった。

SEO
― SEOは『オワコン』なのか?

結論から言えば半分正解だが、半分不正解。どういう事かというと、SEOは「アフィリエイトサイト・ブログの集客方法」としては不向き。これは事実です。現に5月のアップデートから、この記事を書いている11月現在までに回復の兆候はありません。ただし、これは一側面から見た場合のSEOでしかありません。

ここで原点に立ち返って考えてみます。検索エンジンシェア率の約9割が「Googleの検索エンジン」です。つまり、約9割のユーザーがGoogleの検索エンジンを使って何かしらの検索をしています。当然ですが、SEO担当者はGoogleの検索エンジンに合わせた施策を実行する必要があります。

ここで重要になるのが「いかにGoogleの理念に寄り添えるか」です。Googleのプラットフォームを利用している以上、Googleのフィルターを通してユーザーにリーチする事になります。仮にGoogleが「明日から関西弁以外は認めへんで」と言えば、それに従わなければSEOでは生き残れないのです。

Googleが掲げる10の事実

  1. ユーザーに焦点を絞れば、他のものはみな後からついてくる。
  2. 1つのことをとことん極めてうまくやるのが一番。
  3. 遅いより速いほうがいい。
  4. ウェブ上の民主主義は機能する。
  5. 情報を探したくなるのはパソコンの前にいるときだけではない。
  6. 悪事を働かなくてもお金は稼げる。
  7. 世の中にはまだまだ情報があふれている。
  8. 情報のニーズはすべての国境を越える。
  9. スーツがなくても真剣に仕事はできる。
  10. 「すばらしい」では足りない。

引用:Googleが掲げる10の事実 - Google

Googleの理念に寄り添うために、まずSEO担当者が目を通すべきなのが「Googleが掲げる10の事実」です。上記は原文の10カ条の見出し部分を抜粋したものです。この10カ条。少々乱暴ですが、まとめると「とにかくユーザーファースト」です。

Googleは検索エンジンとして、ユーザーが欲している情報(ニーズ)を読み解き、ネット上に存在するあらゆる情報を精査し、信頼できる情報を提供する。広告の見せ方を1つ取っても、細かく定義されています。

時代の潮流に合わせてGoogleも変化し、ユーザーが「広告に不快感を覚える」ならばメスを入れます。

最近では効きもしないサプリを高額な値段で定期販売するような企業もいます。商品の悪評が広まれば屋号を変える。商品名を変える。プロダクトの品質向上などはなく同じことを繰り返すだけ。ユーザーの利益などはありません。

こういった商品はアフィリエイトを通して販促していることが多いわけですが、実際に購入した人たちが「失敗してしまった」と声を上げれば、それが広まり、ユーザーはアフィリエイトサイトそのものに嫌悪感を覚えるようになります。

で、あればGogleが「アフィリエイトサイトの表示を抑制する」という選択肢を取る可能性もあり得るのです。

増える年間アップデート数

近年の傾向として、Googleは毎年4回前後の大型アップデートを実施しています。ただし、Google SearchLiaisonで告知されるような大型アップデートとは他に、告知なしで日常的に行われているアップデートもあります。

これが2010年は516回。2016年が1,653回。2018年には3,234回。年間アップデート数は8年間で約6倍にも増えているのです。

昨今では新型コロナウイルス(COVID-19)により、デマやプロパガンダといった類の情報も広がりました。Google側としてはこれまで以上に情報の精査を問われる事態となり、「YMYL」「E-A-T」の概念がより厳格化されたように感じます。

現在、Googleは「どこで」「誰が」「何について」発信しているか。情報源の信憑性に重きを置いているようなSEO評価をしています。もしかするとコロナ時代に合わせた一過性のアルゴリズムなのかもしれませんし、これ以降もそうなのかもしれません。

少なくともハッキリしているのは、Googleはユーザーファーストを追い求め、常に『新しい姿』へ進化しているという事です。

※E-A-T:Googleが提唱している3つの概念。Expertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、Trustworthiness(信頼性)。

SEOの『新しい姿』にどう向き合うか

SEO
― 今後のSEOにどう向き合えばいいのか?

あらゆる方から質問される事です。残念ながら、この質問に対して正確に答えられるのはGoogleのみです。ただし、少なくともGoogleのプラットフォーム上で生き残るためには先述したとおり、Gooleの理念に寄り添う事が重要です。

まず基本的なことは、Googleから発信される情報は常に目を通しましょう。以下はGoogle SEOにおいて必読であり、定期的な更新チェックも必要です。
Google検索 ウェブデベロッパーガイド(日本語)
Google Webmaster Central Blog(英語)

ただ「Googleの情報サイトを見てください」だけでは味気ないので、私の見解も少し書いておきます。ここ近年の傾向から推測するに、「YMYL」と「E-A-T」に対する概念が厳格化されていることへのアプローチ。さらに2021年に新たに導入される「Core Web Vitals」への対策は必須と言えるでしょう。

YMYL

YMYL
YMYL(Your Money or Your Life)は、人々の人生(金融・幸福・健康)に影響を与える可能性のある情報のことです。その情報の特性上、収益性の高いジャンルが集中しており、競合性も高い傾向にあります。

YMYLの対象ジャンル

対象ジャンル例 概要
ニュース・時事問題 国際問題、政治、ビジネス、科学・テクノロジーなどに関する情報。※スポーツ、エンターテインメント、および日常のライフスタイルに関するトピックは含まれない。
公民・政府・法律 市民生活を維持するために重要な情報。投票、政府機関、公的機関、社会福祉、および法的な問題などに関する情報。
金融・財務 投資、税金、ローン、保険などに関する情報。
ショッピング 商品、サービスの調査。または購入に関する情報。
健康・安全 医療問題、薬物、病院、緊急事態への備え・方法に関する情報。
人間・人権 人種または民族、性別、宗教、障害、年齢、国籍などに関する情報。
その他 フィットネス、栄養、住居、大学の選択、就職など、人生における大きな決定や重要な局面に関する情報。

※引用:Google 品質評価ガイドライン 2020年10月版から抜粋・翻訳

上記は「品質評価ガイドライン」に記載されているYMYLの対象ジャンルです。

YMYLを取り扱うサイトの評価基準はよりシビアになり、上位表示の難易度も格段に上がります。中でもショッピング、金融、保険など収益性の高いジャンルの競合性は非常に高く、SEO施策にも莫大な予算・人的リソースが必要になることも攻略におけるハードルとなります。

また5月のアップデート以降はドメインパワーが重視されるようになり、スタートアップのサイトが短期的に上位を獲得することが困難になりました。そういった中、強ドメインの配下を“間借り”してメディアを運営するといった企業も現れています。

E-A-T

E-A-T

  • Expertise(専門性)
  • Authoritativeness(権威性)
  • Trustworthiness(信頼性)

E-A-Tは品質評価ガイドラインを含め、あらゆる所でも登場する“高品質”に関する造語です。上位の3指標の頭文字からできた言葉です。

特にYMYLに関するトピックを取り扱う場合、E-A-Tの担保は必須と言えます。具体的にE-A-Tで意識すべきなのは「どこで」「誰が」「何について」の3つです。

「どこで」「誰が」「何について」を意識する

「医療・健康・美容」というジャンルをトピックに、わかりやすく具体例を出すなら以下のようなイメージになります。

  • 「国営メディア」で「著名な医者」が「コロナウイルスへの対策」について情報を発信する
  • 「健康メディア」で「管理栄養士」が「健康的な食事」について情報を発信する
  • 「美容メディア」で「コスメコンシェルジュ」が「ファンデーション」について情報を発信する

中でも「誰が」という部分にはコストが掛かります。と、なるとE-A-Tを担保できるのは一般的に大手メディアに絞られます。ネット上では「検索結果が大手メディアで埋まった」「ドメインパワー勝負になった」という声を目にしますが、このE-A-T厳格化が所以であることが推測できます。

少し話はズレますが、アップデート後は「情報の信頼性」という部分はかなり強化されました。ただ、その一方で個人発信の「トゲのある情報」「ジャーナリズム」は埋もれることになりました。

情報統制とまでは言わないものの、様々な意見を見る機会は必然的に減ったと言えます。コロナ禍の影響も少なからずあると思います。Google的には「情報の正確性」に重きを置いたという結論でしょう。ただ個人的な感想としては、検索の楽しさは無くなったと思います。

Core Web Vitals

core web vitals
画像引用:Google Developers Japan
Googleは2020年5月、「Google Webmaster Central Blog」にてGoogleのUX指標「Core Web Vitals」を2021年以降の検索順位の評価規定に導入すると発表しています。

ユーザーが検索エンジンを心地よく使うための指標「ページエクスペリエンスシグナル」に関する項目の1つとされており、以下3つの指標を重要視しています。

  1. LCP (Largest Contentful Paint)
  2. FID (First Input Delay)
  3. CLS (Cumulative Layout Shift)

読み込みパフォーマンスの尺度「LCP」

LCP
画像引用:web.dev

LCP(Largest Contentful Paint)は、ページ読み込み速度を表す指標です。

ページのロード開始から、2.5秒以内にページで最も大きな要素が読み込まれていることが理想とされています。

インタラクティブ性の尺度「FID」

FID
画像引用:web.dev
FID (First Input Delay)は、ユーザーがページ内でアクションを起こした際に発生する待機時間を測る指標です。

ユーザーがリンクボタンなどをクリック・タップしてから、反応するまでに100ミリ秒未満であることが理想とされています。

視覚的安定性の尺度「CLS」

CLS
画像引用:web.dev
CLS (Cumulative Layout Shift)は、ページに視覚的な安定性があるかを測る指標です。

過度なポップアップ広告の表示など、ユーザーのUX低下を招くような“レイアウトのズレ”を防ぐために設けられた項目であり、独自のスコアが使用されています。スコアは低いほどUXに優れているとされ、ページのCLSは0.1未満であることが理想とされています。

新SEOでは誤魔化し、短期的な施策は通用しない

SEO
SEOは『オワコン』ではありません。ユーザーファーストを追及・進化した結果『新しい姿』となりました。

これまで有効だったブラックハット的なSEO施策は一切通用しません。深く掘り下げた正確な情報を、有識者が適切に発信していく。社会的な価値を確立し、認められ、ドメインパワーをコツコツ上げていく。いずれにしても短期的な施策ではなく、長期的かつ大規模な施策が必要です。

「今はSNSの方がイケている」という声もあります。これは時代の潮流的にも一理あるでしょう。実際問題としてSEOのハードルは高いと言えます。であれば、SEOに固執せずに集客方法はその時その時に選択すれば良いと思います。

ただし、プロダクトそのものに本当にニーズがあるのか。プロダクトの品質には自信を持てるか。ファンが付くようなプロダクトなのか。これは常に考える必要があります。

コモディティ化が深刻になり、物で飽和した世の中だからこそ、「売る」ではなく「売れる」プロダクトを探求し続けるべきだと思います。

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