マーケティング戦略をたてる方法|基本フレームワークやリサーチ方法を解説

企業が自社の製品やサービスを展開していく際には、マーケティング戦略が非常に重要となります。
マーケティング戦略を正しくたてられないと、せっかくコストをかけて作り上げた製品やサービスが全く売れないといった事態に陥るリスクがあるからです。
ただ、マーケティングといってもさまざまな手法があり必要に応じて使い分けをする必要があります。
今回は、マーケティング戦略をたてる方法をご紹介します。

マーケティングの方法

マーケティングとは、自社の製品やサービスの販売計画をたてて実行していくことをいいます。
市場動向や顧客のニーズ、そして心理的要因などをトータル的に分析および把握することが、マーケティングの肝となります。
マーケティングによって調査する項目としては、次の通りです。

  • 内部・外部環境
  • 誰に(対象とする顧客)
  • どのような価値を
  • どのように提供するか

市場動向や政治情勢、経済的要因などの外部環境を踏まえたうえで、自社にはどんな強みがあるのかを分析していきます。
そして市場を細分化していき、誰に対してサービスを提供していくのかを決定するのです。
ターゲットを確定させたら、そのターゲット層の胸を打つような価値をどのようなアプローチで提供していくのかを検討します。

マーケティング戦略のためのフレームワーク

前述したように、企業が製品やサービスを展開していくにあたって、マーケティング戦略なしでは現代の世の中では戦っていくことはできません。
しかし、マーケティング戦略といってもさまざまな手法があるのです。
実際に活用することが多いマーケティング戦略をご紹介します。

PEST分析

pest分析
PEST分析とは、自社を取り囲むさまざまな外部要因が将来的にどのように自社へ影響を与えるかなどを予測・分析するための手法です。
PEST分析では、主に次のような調査を行います。

  • 政治(Politics)
  • 経済(Economy)
  • 社会(Society)
  • 技術(Technology)

企業というのは、常に政治・経済・社会・技術などのマクロ環境に大きな影響を受けます。
それぞれの要因によって、短期的には明確な影響が受けない場合であっても、中長期的に予測をたてるとそれぞれの外部要因が重なって、大きな影響を与えることもあるのです。
もちろん、予測となるので必ずしも予測通りに進むとは限りませんが、企業の展望としては大きな指標となるでしょう。
PEST分析では、これらの外部要因を中長期的な視点で分析するために利用されます。

PEST分析の成功事例

たとえば、食品業界におけるPEST分析の成功例を確認してみましょう。
従来、食品業界ではファミリー層を意識した商品の展開が主流でした。
しかし、近年では未婚者・離婚者・単身高齢者などが増加していることによって単身世帯が急増しています。
この社会変化に対応するために、これまで主流となっていた大容量などの商品から、小容量・小分け包装などの商品が主流となっていったのです。

3C分析

3C分析
3C分析とは、自社を取り巻く業界環境の分析を行うためのマーケティング手法です。
主な分析項目としては、次のようなものがあります。

<3C分析の要素>

  • 市場・顧客(Customer):市場規模や顧客のニーズなど
  • 競合(Competitor):競合の特定、各競合の特徴・強みなど
  • 自社(Company):自社の強みと弱み、現状など

これらの3つの観点から、自社で事業展開をしていくにあたって必要となる成功要因を見つけることができます。
それぞれの要因を個別に分析していこうとすると、情報量が多くなりすぎて分析が困難となる傾向が強いです。
しかし、3C分析を活用し確かめるべきことの方向性を明確にすれば、それぞれの関連性をつけて分析に必要なポイントを絞っていくことができるというメリットがあります。

3C分析の成功事例


出典:SustainableJapan

スターバックスは、1995年に日本で第1号店を出店して以来、爆発的に店舗数を増やしており、現在では1,000店を超える大手企業となりました。
当時の日本では、庶民向けのコーヒーチェーンが主流となっていたことから、少し高価だけどおしゃれで居心地のいい店舗展開をしていきました。
また、他のチェーン店にはない、コーヒーメニューの充実や、全席禁煙、カスタマイズなどの特別感などを売りにして成功したのです。

STP分析

STP分析
STP分析とは、商品の展開にあたって自社の位置や魅力を検討し、具体的なユーザー像を設定したうえで優位となる立ち位置を分析していくマーケティング手法のことをいいます。
STP分析では、主に次のような項目を分析していきます。

<STP分析の要素>

  • セグメンテーション(Segmentation)
  • ターゲティング(Targeting)
  • ポジショニング(Positioning)

セグメンテーションにおいて、市場全体を細分化して、市場への理解度を高めていきます。
そして、その上で自社が狙うべき販売層を決定します。
販売層の狙いを定めることで、商品展開を行う際に自社の強みやメリットなどの立ち位置を把握して、商品展開の戦略をたてることが可能です。
この分析の際には、顧客目線を意識した戦略策定が重要となります。

STP分析の成功事例


出典:QB HOUSE
QBハウスでは、STP分析を活用してマーケティング戦略を成功させました。

もともと、美容室業界では価格よりもサービスや質を重視する傾向が強かったです。
その業界思考を逆手にとって、散髪に時間をかけたくなく、できるだけコストも抑えたいというターゲットに絞って事業展開をしていきました。
これが国内で大ヒットをして、現在では海外進出も実現しています。

4P分析(マーケティングミックス)

マーケティング4P分析
4P分析とは、4つの軸に絞って競合他社と比較分析を行い、どのように自社の製品やサービスを展開していくかなどを検討するマーケティング手法です。
4P分析では、次の4つの項目を分析していきます。

<4P分析の要素>

  • 製品(Product)何を売るか?
  • 価格(Price)いくらで売るか?
  • 流通(Place)どのように届けるか?
  • プロモーション(Promotion)どのように知らせるか?

この分析によって、どんな製品をいくらで、どんな流通経路で、どのようにして販売活動をしていくのかを可視化させることが可能です。
もちろん、素晴らしい製品やサービスを開発すると、何もしなくてもある程度は売れるでしょう。
そこで、さらに4P分析をすることで、より効率よく最大限のベネフィットを得るための戦略を練ることが可能となります。

4P分析(マーケティングミックス)の成功事例


出典:ユニクロ

グローバル企業の一つでもあるユニクロは、まさに4P分析のお手本ともいえる成功を収めています。
ファストファッションにありがちな値段なりの製品ではなく、安くて高品質、スマートなデザインの製品をどこでも買えるようにしました。
また、メインの商品を一つピックアップしてメディアを利用して集中展開することで、ヒット商品を多数生み出しています。

SWOT分析

SWOT分析
SWOT分析では、外部要因と内部要因を把握したうえで、自社の強みや弱み、そしてチャンスや驚異などを分析するマーケティング手法です。
SWOT分析では、主に次の項目を分析します。

<SWOT分析の要素>

  • 強み(Strengths)
  • 弱み(Weaknesses)
  • 機会(Opportunities)
  • 脅威(Threats)

内部要因の強みと弱み、外部要因の機会と驚異をマトリックス上で分析することで、より実現性の高いマーケティングの立案が可能となります。
分析をする際には、強み×機会、強み×脅威などといったようにクロス分析で読み取っていくことがポイントです。
一般的に、マーケティングを行う際には、自社の強みや弱みを分析して戦略を練っていきます。
しかし、SWOT分析では外部要因についても加味していくため、通常よりも広い視野を持って経営戦略をたてられるというメリットがあるのです。

SWOT分析の成功事例


出典:コカ・コーラ

SWOT分析の成功事例として、コカ・コーラのマーケティング事例を見ていきましょう。
コカ・コーラにおける、内部要因の強みと弱み、外部要因の機会と脅威は次のようになります。

  • 強み:世界的にも高いブランド認知度
  • 弱み:限られた資源である水の管理
  • 機会:多様化 ※提携により多様化が予想されること
  • 脅威:消費者の健康志向と他社による代替品の提供

コカ・コーラは、高いブランド認知度を持っていることによって、新しい事業であっても比較的受け入れられやすいというメリットがあります。
それによって、エナジードリンク事業や途上国へのボトルドリンク事業などへの発展性に目をつけて多様化していったのです。
また、近年の健康志向によるジュースの消費減対策として、健康志向の飲料展開などの対策などを行っています。

マーケティングにおけるリサーチ方法

マーケティングにおいては、市場調査をはじめとする各種リサーチを欠かすことはできません。
リサーチ方法などでもさまざまなものがあるのですが、ここでは主なリサーチ方法や、そのメリットデメリットについて、詳しくご紹介します。

アンケート調査

アンケート調査は、マーケティングリサーチの手法の中でも、もっとも一般的な方法の一つです。
紙媒体やWebサービスを活用して、アンケートを収集します。
アンケートの内容については、企業が独自に作成して、必要な情報を収集するケースが多いです。
アンケート調査のメリットとしては、無料で手軽に利用できるということです。
近年では、ネットやSNSの普及によって、さらに実施しやすくなっています。
一方で、アンケートの信憑性を高めるために一定数の母数が必要です。
さらに、本心と違う回答をしてくるケースも考慮しなければなりません。

グループインタビュー

グループインタビューとは、実際に利用している顧客などを複数人募集して、集団の中で質問などを行う方法です。
匿名ではない、複数の顧客からの生の声を聞くことができるというメリットがあります。
また、選択式の回答ではなく、顧客自身の言葉で意見を聞くことができるのは企業にとって非常に魅力的です。
一方で、集団でインタビューを行うことから、周りの意見に流されてしまうリスクがあるでしょう。
また、不満があったとしてもなかなか人前でいえないような内容であったりすると、本当に聞きたい本音を聞くことができない恐れがあります。

モニター調査

モニター調査というのは、顧客や専門家に、販売中の商品や開発中の試作品などについて期間を定めて使用してもらい意見を集める調査方法です。
調査対象者を指定して、実際に商品などを使ってもらったうえで調査できるので、具体的な意見や感想をもらって分析できるというメリットがあります。
これによって、新たな改善案などを検討することができるでしょう。
ただし、回答モニターが固定されてしまうケースや、適当な回答をされてしまうリスクなどがあるので注意が必要です。

WEBマーケティングの主な方法

ネットワークやITシステムの発達によって、近年ではWebを活用したWebマーケティングについても重要視されるケースが増えてきました。
Webマーケティングといっても、その手法は非常に多岐にわたるため、主な手法についてご紹介します。

SEM

SEMとは、Search Engine Marketingの略称であり、文字通り検索エンジンを利用したマーケティング手法の一つです。
さまざまな検索サイトから、顧客が自社のWebサイトに訪問することを目的として利用されます。
SEOなどの検索エンジンの最適化や、リスティング広告などの検索エンジンに連動した広告発信など、さまざまなアプローチ方法があります。

SEO

SEOは、顧客などが特定のキーワードで検索を行った際に、自社のWebサイトが検索結果の上位に表示されるように最適化をすることをいいます。
SEO対策を行うことによって、Web上でのPR力の向上が狙えます。
Webページを検索結果の上位に表示させるためには、「クオリティの高いWebページである」と検索エンジンに評価されることが必要です。

リスティング広告

リスティング広告とは、検索エンジンが検索結果を表示する際に同時に表示する広告部分に掲載する広告のことをいいます。
GoogleやYahoo!などに、広告料を支払うことで広告掲載してもらうことができるのです。
掲載順位に関しては、キーワードごとのオークション形式となっており、広告費が高ければ高いほど上位に表示される仕組みになっています。

アドネットワーク広告

アドネットワーク広告とは、複数のサイトの掲載面に広告を出してもらえるネット広告の一つです。
各メディアと個別契約や料金交渉などをする必要がないので、手軽にネット上のさまざまなサイトに広告を掲載できるというメリットがあります。
ただし、アドネットワーク業者が提供している媒体すべてに掲載されるので、ターゲット層以外の消費者に掲載されてしまうという点はデメリットです。

アフィリエイト広告

アフィリエイト広告は、成果報酬型広告とも呼ばれています。通常の広告とは違い、掲載された時点では広告費が発生しないという特徴があります。
その広告がクリックされて、顧客がその商品の購入や資料請求、会員登録といった目的の条件に達したときのみ、広告費が発生するのです。
アフィリエイターに自社の商品が選ばれなければならないなど、ハードルが若干高くなる傾向があります。

SNS広告

SNS広告とは、FacebookやTwitter、そしてInstagramなどのSNSページ内に広告を掲載するマーケティング手法のことをいいます。
有料の広告となっているものの、無差別に広告を発信するのではありません。
登録されている性別や年齢層、利用者の興味関心によってなどの条件によって、広告を発信するターゲットを選別できるというメリットがあります。

SMM(ソーシャルメディアマーケティング)

SMMは、SNS広告のように運営企業に広告料を支払って、広告掲載してもらうのではなく、自社でSNSに登録をして運用していく広告手法のことをいいます。
公式アカウントなどを作成して、自分自身で広告していくので費用が掛かりません。
また、ユーザーとコミュニケーションを取りながら、自社サイトへ誘導することができるというメリットがあります。

まとめ

マーケティング戦略をたてる際には、さまざまな分析手法を活用していくことが必要です。
今回ご紹介した分析手法はさまざまな企業が実践して、成功を収めています。
また、Webマーケティングは、ネットワークが発達した現代において、欠かすことはできません。
成功事例を参考にしながら、自社のマーケティング戦略に利用してみてはいかがでしょうか。

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