【対談】LINE活用は成長戦略の台風の目。激変する市場に対応するためのLINE戦略論。
稲益 仁 氏
DOTZ株式会社 代表取締役社長
デザイナー、人材エージェントを経て2006年にサイバーエージェントへ入社。通販企業を中心にプランナーとして活動したのちにCRM局、LINE局などを立ち上げ局長を歴任。大手企業のLINEアカウント運用を統括。LINE認定講師「LINE Frontliner」。

田内広平
PROJECT GROUP株式会社 代表取締役
2012年、大学卒業と同時に株式会社Project L.C.(現・PROJECT GROUP株式会社)を創業。ORBIS、品川美容外科クリニック、ビックカメラといった大手クライアントを中心にデータマーケティング/R&Dを提供。グロースハック集団として業界トップクラスの実績を持つ。ベストベンチャー100を2017/2018で連続受賞。

国内で圧倒的なシェアを誇るLINEの市場成長率

田内と稲益氏
田内広平今回の対談はサイバーエージェントでCRM局・LINE局の局長を歴任し、現DOTZ株式会社の代表である稲益さんをお招きし、「LINEのマーケティング活用」について語っていきたいと思います。本日はよろしくお願いします。

稲益仁氏どうぞよろしくお願いします。

田内広平早速ですが、マーケティングにおいてLINEの重要性がかなり上がっている印象ですけど、そもそもLINE自体は成長しているんですか?

稲益仁氏Zホールディングスと経営統合してからは具体的な数字が出ているわけでは無いんですけど、予算などを聞いている感じだと120%以上は成長している感じですね。

田内広平デジタル広告の市場成長率が110%なので、それよりも高い成長率なんですね。

稲益仁氏そうですね。LINEのマーケティング活用は大きく「ディスプレイ広告」と「公式アカウント」と2つの領域に分かれていまして、売上比率はディスプレイ広告が6~7割、公式アカウントが残り3~4割という感じだと思われます。

田内広平ユーザーリーチが多すぎてセグメンテーションうんぬんより、「とりあえずLINE広告をやらねば」というような状況になってますよね。

稲益仁氏そうですね。D2Cの業界におけるLINE広告は競争も激しく、さらに薬機法も厳しく審査されている為、なかなかCPAを合わせることが難しくなってきているように感じます。

田内広平逆にCPAが合いやすい媒体とかあるんですか?

稲益仁氏それで言うと、FacebookやInstagramの方が薬機法の観点において審査が甘く、質の悪い広告が出回り、CPAが合いやすいと聞いたことがあります。

田内広平双方ともCPAが高騰しているイメージなんですけど、そうなんですね。

Cookie規制・ITP問題がもたらす広告戦略の変化

田内と稲益氏
田内広平昨今のデジタルマーケティング市場の変化といえば、GoogleによるCookie規制、AppleによるITP問題。これらの影響から、リターゲティング配信が使えなくなるじゃないですか。

この市場変化に対応するための下準備として、LINEにユーザーを集めておくことは「今後のマーケティング戦略の肝」だと思うんですけど、この認識は市場に広まっているんですかね?

稲益仁氏いや全然広まっていないですね。それこそ僕らも一生懸命そのことを言っているんですけど、「リタゲ関連もまだ1年後の話なので」みたいに感じているようで、危機感を持って「今のうちからLINEをやろう」と意思決定している人は殆どいないと思います。

田内広平でも1年はあっという間だし、ユーザーを集める期間としても結構ギリギリですよね。この状況でやろうというジャッジをしないのは情報格差があるのか、リスク管理能力の低さなのか、どちらかわかりませんけど疑問ですね。

まあ、でもデジタル広告界隈も規制の影響によって「予算を増やし続けて垂れ流すだけではCPAが合わなくなる」という認識し始めてはいるものの、その後に「何をすべきか」というアクションプランは持っていないんですよね。垂れ流して合わないなら「どう考えてもユーザープールを構築した上でのCRMだろ」と僕は思いつつ、どこも右往左往している感じですね。

稲益仁氏CRMという文脈から言っても、LINEはこれから絶対に伸びてくるし、実際にZホールディングスも会社を挙げてLINEを売ろうとしている動きがあるんですよ。そういう動きがある中で最終的に何が起こるかと言うと、やはりユーザーの囲い込み競争が起きると思っています。

これ自体は僕も言い続けていることなんですけど、それでも「じゃあ、すぐLINEをやりましょう」とはならないのが実情で、そもそもLINEがSNSだと思われていることに問題があるのかなと思いますね。

田内広平SNSと思われている話で言うと、ブランディングチームなんかはよくLINE関係に介入してきますよね。それこそ「サービスの印象が」とか「ブランドイメージ的に」みたいな横やりが来るんですけど、そういう話では無いじゃないですか。

稲益仁氏ありますね。会社によってはLINEの担当が広報部だったりしますからね。

田内広平ですよね。一番の獲得ポイントに成り得るんだから、普通にマーケティングチームが担当すべきなんですけどね。

マーケティングにおけるLINEの優位性

田内と稲益氏
田内広平LINEはユーザープールとして、あらゆるプラットフォームの中でも断トツの性能だと思っていて、なんなら全てのユーザーをLINEに流してしまえば良いとさえ思っていたりするんですよね。

稲益仁氏そうですね。しかもLINEユーザーは老若男女で、全年齢層に対応した取りこぼしの無いマーケティングが出来るし、なおかつ簡単に利用できるという利点もありますからね。

田内広平SMS配信を除けば、開封率も断トツで一番ですよね。

稲益仁氏開封率でいうとそうですね。でも、SMS配信は1通10円くらい掛かるわけです。対してLINEは一番高くても1通3円ですから、コスパは断然LINEなんですよね。それこそDM配信や広告チラシなんかをやっている会社は、全てLINE化すれば良いと思っています。具体的な例で言うと、マンションなどにポスティングしている会社、ピザ屋とか出前系はまさにそうですね。

田内広平ピザ屋なんかはクーポンも豊富ですし、相性が良いでしょうね。プッシュすればユーザーもそれなりに集まりそうですよね。他にLINEと相性が良いと思うジャンルはどんなものですか?

稲益仁氏マス系も良いですし、誰しもが買ってくれる商材かつ、リピートするもの。いわゆる消費財。代表的なものはやはりアパレルですね。クロスセルが出来るブランドは特に良くて、逆に「うちは定期購入でこの商品しかないんですよ」というところはあまり向かないですね。

田内広平SKU数が無いとキツイですよね。配信コンテンツも枯渇するし、ユーザーからしても同じ商品を配信されてもウザいし。

LINE公式アカウントの成否は設計/運用方針で決まる

田内広平
田内広平ユーザーの集客方法によって「アカウントの設計/運用方針」も変わると思うんですけど、この認識が市場に浸透していない気がするんですよ。

例えば、スタンプ集客で集めたユーザーは「スタンプが欲しいから登録した人たち」であって、そのブランドに興味があるとは限らない。それは開封率の差にも出るだろうし、配信内容も既存ファン向けとは大きく異なるわけですよね。

でも、どの企業も基本的にユーザー属性を切り分けずに、ごちゃ混ぜでアカウントを運用していますよね。かといってセグメント配信するにしてもコストあがるし、個人的にはアカウントを切り分ければ良いと思っていたりするんですけど。

稲益仁氏それで言うと、条件付きですけど公式アカウントを切り分けると運用コストが分散するので、「友だち」という資産は1つにまとめた方がコスト効率は良いですね。

田内広平1つのアカウントでも、細かいユーザー属性をしっかり管理できるものなんですか?

稲益仁氏基本的に1つのアカウントでも「データに紐づいたユーザー管理」をしておけば問題ないですね。

「この人は、このブランドに対する興味関心が高い」「この配信を開封している・見ている・クリックしている」といったデータを元に配信を出し分けてあげて、1つのアカウントで通数を積み上げていった方が配信単価は下げられますね。

ただ、こういった「データに紐づいたユーザー管理」が出来ている会社は殆どいなくて、いまだに一斉配信しているところも多いのが実情ですよね。

田内広平セグメント配信をするにも、ユーザー属性を判断するためのデータが必須じゃないですか。要はデータの紐づけのために、ユーザーには能動的なアクションを1度やってもらわないといけない。そのアクションを要求する段階でユーザーが離脱していくと思っているんですけど、実際はどうなんですかね?

稲益仁氏おっしゃる通り一定数は落ちますね。スタンプ集客を例にすると、スタンプを配って300万人のユーザー登録があったとします。そのうち7割は即時ブロックになるので除外、残りの3割である100万人が配信を開封・閲覧しているユーザーになります。

この3割に対して配信を続けながら、更に「クリックしたかどうか」を探っていくわけです。「クリックして何を見たのか」「購買者は何を買ってくれたのか」といったデータをためて、どんどんセグメントを絞っていく。これを繰り返していくとユーザーが減っていくので、CPAが合っている場合は再度集客しましょうといった感じですね。

ただ、スタンプ集客が有効なのは「マスマーケティングが効く会社」に限った話だったりします。要は「安価で誰しもが買うもの」を取り扱っている会社ですね。

田内広平一般消費物の方が良いということですね。

稲益仁氏そうですね。例を挙げていうと、ユニクロさんやニトリさんといった皆さんが利用されるブランドは特に相性が良いですね。そもそも店舗数も多いのでチラシ代わりにもなりますし、最近だと「デジタル広告の入札競争に巻き込まれないパターンを作りたい」という要望も多いですからね。

カスタマーサポートとしてのLINEという選択肢

田内と稲益氏
田内広平LINEをマーケティング活用する上で「LINEと商材の相性が結果を左右する」と言うことですけど、これに当てはまらない企業も少なからずいると思うんですよ。そういった企業におけるLINE公式アカウントに価値はあるんですかね?

稲益仁氏それで言うと、今後はカスタマーサポートとしてLINEが有用になると思いますね。具体的には「チャットボット×カスタマーサポート」での省人化。

田内広平なるほど。カスタマーサポートという側面からLINEを使った場合、どれくらいのパフォーマンスが出るものですか?

稲益仁氏まず問い合わせの総量は増えますね。電話やメール以外にチャンネルが増えて、なおかつ簡単。あとは自動化の範囲も広がるという感じですね。

田内広平ちなみに自動化によって人的コストはどのくらい落ちるんですか?

稲益仁氏大体コールセンターに関わってくる業務なら3~4割は自動化できます。

田内広平結構なコスト削減ですね。

稲益仁氏他にもメリットはあって、例えば「サイレントカスタマーの声が拾えるようになる」とかですね。要はこれまでの問い合わせ方法というのは電話をかけるだとか、メールを送るとかでハードルが高かったじゃないですか。そういった側面がLINEだと緩和されるので、クレームを言ってこなかった方からの声も集まりやすくなると。それは企業にとって、今まで気付かなかったことに気付く起点になるわけです。

田内広平確かにそうですね。「問い合わせが増えて対応が大変になるのではないか」みたいな声もありますけど、その辺はチャットボットだから人間が対応するシーンも実際は少ないですからね。

CRMとしてのLINEの可能性

稲益氏
田内広平当然、LINEはCRM領域で使われることも多いわけですけど、従来のメルマガなんかとの優位性だったり、違いはどんなところにあるんですか?

稲益仁氏結局はアクティブユーザーの多さですね。今だとメールをコミュニケーションツールとして日常的に使っている人は殆どいないですし、メールだと未読でも「今すぐ返そう」とは思わないじゃないですか。逆にLINEは日常的に使うアプリだし、広告でも無意識に開きますよね。

田内広平コミュニケーションツールが「Instagramに移り変わっている」とも言われてますけど、僕の所感としてはLINEの普及率自体はあまり変わっていないイメージがありますね。

稲益仁氏はい、おっしゃる通りです。LINEはMAUが8900万人オーバーでアクティブ率も70%以上とされています。またLINEの公式データによると、コロナ禍で人と会わなくなったことから、LINEのメッセージ総量は以前より増えたと言われています。

田内広平そうなんですね。

稲益仁氏事実、セミナー開催時に「ここに来るまでにLINEを開いた人は挙手をお願いします」と聞くと、大多数の人が手を挙げますからね。やはり人が一番見ている場所に広告を打つというのは当たり前の話ですね。

LINE広告の具体的な開封率で言うと、オーガニックで集めたユーザーの開封率が約8割、スタンプ集客のユーザーが多いと3割みたいな感じです。メールの開封率が10%前後と言われているので、これと比較しても優位性は歴然ですね。

田内広平稲益さん的に、各企業の中にCRMチームはあるべきだと思いますか。

稲益仁氏どうなんでしょうね。CRMも範囲が広いので、そもそも定義の話からすべきだと思いますね。

田内広平確かにCRMの定義は結構ブレがありますよね。

稲益仁氏おもてなしもCRMだし、同梱物を作ることもCRMだし、次回の購買行動を促すこともCRMですからね。

田内広平一般的なCRMの認識としては「次回の購買行動を促す」という部分が強いんじゃないですかね?

稲益仁氏一般的な認識はそうなんでしょうけど、それで本当に「CRMが完結しているのか」をきちんと考えて、おもてなしからアフターフォローまでユーザーにとって本当に喜んでもらえることをやっている会社は少ないですね。いわゆるD2C系の新興企業なんて誰もやっていないですよ。

田内広平その辺に関しては、古い会社の方がやっているイメージはありますよね。

それこそアフィリエイトの定期通販の波で入ってきた新興の会社なんかは、本当はやらなくてはならない基礎部分が出来ていないですよね。そこの抜け漏れがすごいせいで、あまりファンを作れていないというイメージがあります。

稲益仁氏まあ、でも新興企業に関わらずメーカーでも似たようなことはありますよ。例えば「何のためにLINEをしているのですか」と聞くんですけど、「エンゲージメント」という言葉でうやむやにされるケースが多いんですよ。

そのエンゲージメントはどのように測っているのか。MAツールを導入して、閲覧回数や訪問頻度でスコアリングを付けているのか。キャンペーン案内は何度配信して、何回以上のアクセスでファン層と定義するのか。「やっていません」「定義できていません」というのが殆どなんですよね。

田内広平確かに、ファン層の定義をしている会社はほぼいないですね。

LINEビジネスマネージャーの登場で変わるアカウント運用戦略

LINEビジネスマネージャー
出典:Markezine.jp
稲益仁氏話は変わりますが、LINEが直近11月に「LINEビジネスマネージャー」というものを始めたんですよ。これでまた市場が大きく変わると思いますね。

田内広平リリースされましたね。詳しくは把握できてないですけど。

稲益仁氏Facebookのビジネスマネージャーに近いもので、簡単に言えばLINEのデータ統合/解析ツールみたいなものですね。

田内広平アカウントが複数あっても統合されるんですか?

稲益仁氏条件が一部ありますが、基本的には統合できます。

データが広範囲に使えるようになったことが大きくて、例えばメインとサブでアカウント(LINE広告とLINE公式アカウントで)を分けていたとして、規模の大きい公式アカウントからコンバージョンデータを吸い上げて、LINE広告の方でそのデータを活用して拡張配信するといったことが出来ます。

他にもカスタマーサポートの話であれば、問い合わせをしてきたユーザーのデータから、新規獲得やっても良いですよね。こういう感じで、何でもLINEに集約させた方が活用法も広がって良いわけです。

田内広平そこまで行くと戦略幅もかなり広がりますね。

稲益仁氏「うちはネイティブアプリ戦略なので」というクライアントも結構いるんですよ。彼らの言い分も分かった上で、ちょっと厳しい言い方をすると「LINEのプッシュ配信以上に効果を出せるような“利用価値のあるネイティブアプリ”をあなたたちは作れますか」という話なんですよね。

田内広平なるほど、なかなか難しい話ですね。

稲益仁氏「型にはまった内容、フォーマットで作られたアプリが面白いのでしょうか」と。ユーザーはそんなものに興味を示してはくれませんよ。

「ネイティブアプリ」と「LINEミニアプリ」の是非

田内と稲益氏
田内広平まずは一旦LINEへ送り込んで、後からネイティブアプリに切り替えさせれば良いと思いますけど、皆さんはあまりそういう発想にはならないんですかね。

稲益仁氏それで言うと、LINE上でミニアプリを作れるようになったので、ネイティブアプリそのものの必要性は薄れたと思っていたりします。

大手家電量販店の会員証アプリなんかは良い例で、ユーザーは会員証を使うために専用のアプリをダウンロードするわけですけど、その目的というのは「購入時にポイントが付くから」の一点、それだけじゃないですか。アプリを開いて「お店に行こう」とは、なかなかならないわけです。

つまり「ポイントを貯めるだけのアプリ」は必要ないんですよ。LINE上で会員証を出せれば、それで終わりですよね。レジに「ポイントを貯めるにはQRコードを読み込んでください」みたいにアナウンスして、QRコードを読み込んだらLINEが立ち上がる。会員証が出てくる。そして利用許諾を押せば、同時に友だち追加にもなると。

田内広平なるほど。ポイントアプリとしてLINEを使い、獲得したユーザーに配信できる広告面としてLINE公式アカウントを認識した方が良さそうですね。

稲益仁氏まさに広告面を自分たちで作るという感じです。

仮に僕がそのお店の担当者であれば、まずはLINEのミニアプリに切り替えます。ポイント関連は購入時にLINEで会員証を提示させ、更に追加でアンケートに答えてもらう。どうせレジ処理に時間が掛かるし、「更に数ポイント付きます」とか言えば答えてくれると思います。

そこで「どんな目的で冷蔵庫を買いましたか?」「買い替えです」とか「引っ越すので新調しました」とか答えてもらう。すると「この人は引越し目的で買った」「息子の大学進学に合わせて買った」といった有益なデータがLINEIDに紐づいてずっと溜まっていきますよね。

田内広平もっと言うと「次に買い換えようと思っている家電はありますか」と聞けば良いですよね。

稲益仁氏そうですね。「夏あたりにテレビも買おうと思っているんです」みたいな情報があったとしたら、夏のタイミングで「テレビが安いです」「貯まったポイントを使って買いませんか」とやれば行きますよね。

田内広平CVRも格段に上がるんじゃないですかね。

稲益仁氏そうかもしれないですね。こういう話なわけですけど「何で皆やらないのか」「これこそDXだろ」と思っています。

田内広平これは確かに真のDXですね。

稲益仁氏DXはデジタル技術を自分たちの業績にどのように寄与させるかということ。なので僕的にLINEは「LINEマーケティング」でも「CRM」でもなくて、「DXがしやすいツール」として認識すべきだと思います。なぜなら日本人の誰しもが使っているアプリだから。「なぜここで戦わないのか意味が分かない」という話を最近はしていますね。

LINE公式アカウント運用の3つのポイント

田内と稲益氏
田内広平そこまで細かくデータが拾えるなら、戦術も広がりそうですね。LINE公式アカウントの運用にまつわる話で何かありませんか?

稲益仁氏それで言うと必ず皆さんがおっしゃられるのは「LINEは運用費が高い」ということですね。ただ実際には高くなくて、その度に「あなたはリタゲにいくら払っていますか」「リタゲのCPCを本当に把握していますか」と聞いていますね。

田内広平リタゲの方が普通に高いですからね。

稲益仁氏高いですし、もっと言うと「今後はリタゲも使えなくなりますよ」という話ですからね。

田内広平その通りですね。ちなみにLINE公式アカウントの運用上、重要なポイントなどはあるんですか?

稲益仁氏やはり「セグメンテーションをちゃんと切る」「配信を見ない人は除外する」ということ。そうすればCTVRは2~3倍に上がると思います。見ない人を除外するだけで数字が良くなるという実績もありまして、要は「見ない人に送っても3円」「見る人に送っても3円」ということなんですよ。

田内広平当然の除外ですよね。

稲益仁氏あとは配信を見てもらうにはどうするかですね。タイトルや画像でどう興味を引くか。どの商品をプッシュして、どんな訴求をするか。

田内広平そうですね。LINEに限らず、クリエイティブ関連は今の時代だとかなり重要ですからね。

セグメント配信については、ユーザーを集めすぎるとセグメントを切るためのマーキングコストが高く付きそうですけどどうですか?

稲益仁氏なので最近ではスタンプ集客をやるにしても、ミッションスタンプにしてアンケートを取りませんかと提案しますね。

田内広平アンケート形式でマークを溜めて、マーキングのための追加配信を不要にしてからセグメント配信を行うということですね。

稲益仁氏そうです。最初から対象外のユーザーは除外するという感じですね。

田内広平それは上手いやり方ですね。

稲益仁氏まあ、これらは細かい運用テクニックの話で、もっと全体的なLINEの運用ポイントについては「まずLINEでどうやってユーザーを集めるか」「ユーザーを集めた後、どのように配信するのか」そして「配信の際は何かしらのマーキングをしましょうね」という3つですかね。

田内広平そうですね。最初の課題はやはり「集客」ですね。

稲益仁氏なのでユーザーの集め方も「何が最適なのか」を考える必要があります。先ほど言ったように「マスと相性の良い商品であればスタンプで良いでしょう」と、そうでなければ「LINEビジネスマネージャーを使って、自分たちの持っているデータを拡張して狙い撃ちで取ってきましょう」といった感じになりますね。

データもLINEで取れるものと、ビジネスコネクトを使わないと取れないデータもありますからね。例えば、まず一番大事な開封/未開封、クリックなんかはLINEでデータが取れます。この先のビジネスコネクトでは何が見えるかというと「いつ、そのユーザーが何回、どのページを見たか」まで拾うことができます。

稲益仁氏だから、まずはアカウント設計で「どういうデータを取得していくか」がポイントになりますよね。例えば、多商材ECであれば「何を見ていたか」「何回来たか」というデータは使いますし、もっと深ぼれば「結果的に何を買ったのか」「いつ買ったのか」という部分まで見えますよね。

田内広平その辺はサイト改善やビッグデータの話とニュアンスが近いですね。

稲益仁氏そうですね。ここから先になると、更に細分化されて「この人は最も次に何を買いそうなのか」というデータを使って配信してたり、訪問頻度などからは「この人はいつどのタイミングで、次に何を買うだろう」と予測できますよね。

田内広平そうですよね。僕らもビッグデータを使う時に併売率分析をやっていて「商品Aを購入したユーザーは1年間の客単利益が一番高い」「つまり、まずこの商品から売るべきだよね」とか。「次の購入では商品Bの比率が最も高いので、まずは商品Bをプッシュしましょう」とかは良くある話ですね。

それこそLINEとビッグデータを連携させて、それぞれのユーザーに最適な商品が自動配信されるようになると理想的ですね。

稲益仁氏そうですね。PROJECT GROUP側でそのレコメンドエンジンを作ってもらって、こちらが持っているMAツールに繋げてくれれば、それは実現できますよね。

田内広平それは良いですね。僕らのやりたい方向に近いですし。

稲益仁氏ちょっと今後に期待しておきます。

田内広平本日は貴重なお時間ありがとうございました。

稲益仁氏こちらこそ、ありがとうございました。

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事