マーケティング戦略とは|目的別のフレームワークと成功事例

マーケティング戦略にはフレームワークという型を活用します。

フレームワークは様々な種類があり、その都度マーケティング活動によって適切なフレームワークを使い分けることが大切です。

今回はどんなフレームワークがあるか、その活用法と成功事例をご紹介していきます。

マーケティング戦略とは

マーケティング戦略とは市場や顧客を分析し、商品やサービスをどのように流通させ販売するか戦略を立てることを指します。また近年はマーケティング戦略の重要性が高まっていると言われています。

それはインターネットやSNSの普及から、企業と顧客の接点が増加して市場の細分化が進んだことにより、広告やコンテンツのあり方も変化に富んできたからです。

そのためマーケティングに関しても、より細かな戦略が必要になってきているようです。

これまで以上に高度で複雑なマーケティング活動が増えているため、戦略もより複雑化すると見られています。

マーケティング戦略におけるフレームワーク

マーケティングプロセスとは、マーケティング戦略を立案する際に踏む手順のことです。マーケティングプロセスの手順は下記の6つに分けられます。

<マーケティングプロセス>

  • 市場調査(市場分析)・環境分析
  • セグメンテーション
  • ターゲティング
  • ポジショニング
  • マーケティングミックス
  • マーケティング戦略の実施

マーケティングを行う上でとても重要な6つのプロセスになります。

またこの6つのプロセスをさらに大きく分けると下記の3工程になります。

<マーケティング戦略の流れ>

  1. 市場調査をして自社の状況やターゲットを明確化する
  2. 戦略の方針を決めるためにより詳細な分析をする
  3. 戦略を実行に移す

この記事では、上記の工程別に有用なフレームワークを成功例とともに紹介していきます。

市場調査に役立つフレームワーク

市場調査をするに当たり、素早く的確に現状を把握するためにフレームワークと呼ばれる型を活用することはとても重要と言われています。

ここでは市場調査に役立つ代表的なフレームワークを4つ紹介していきます。

  • 3C分析
  • SWOT分析
  • PEST分析
  • ファイブフォース分析

これら4つのフレームワークについてそれぞれ詳しく説明していきます。

3C分析

3C分析
3C分析とは、市場の関係性を理解するためによく活用されるフレームワークであり、経営コンサルティングで有名な大前研一氏が考案したものです。

  • Customer:市場・顧客
  • Competitor:競合
  • Company:自社

上記3つの視点から分析を行うため、3C分析と呼ばれています。

この関係性を明示化すると自社の強み、弱みが分かるようになるので、3C分析を使うと事業の方向性を決めることができるのです。

3C分析を活用した成功事例:スターバックス

項目 概要
悩み 単価が少し高い
Company:自社 ドトールとの差別化が図れた。高級感のあるしゃれた店内とコーヒーが美味しいという潜在ニーズに提案することできた。
Competitor:競合 ドトールは正反対のポジションにあり、競合となる店もいなかった。
Customer:顧客 コーヒーチェーン店といえばドトールが中心。顧客の潜在ニーズに「おしゃれ」「高級感がある」「コーヒーが美味しい」があり、そのニーズにうまく当てはまった。

SWOT分析

SWOT分析
SWOT分析とは、以下の4つを組み合わせて分析するものです。

  • 強み(Strength)
  • 弱み(Weakness)
  • 機会(Opportunity)
  • 脅威(Threat)

4つの頭文字をとってSWOT分析と呼ばれています。

「強み」と「弱み」という内部環境と「機会」と「脅威」という外部環境から分析することにより現状を把握します。

今後の戦略方針や改善策などを立案するためにとても有効的な手段です。

SWOT分析を活用した成功事例:日本ハム

項目 概要
悩み 多角化戦略として展開中の水産・乳製品事業の赤字が継続している
Strength:強み ハム、ソーセージで知名度のあるトップ企業である。飼育から加工・流通・販売までの一貫体制を持ち、全国に販売会社を展開し、営業力が優れている。
Weakness:弱み 多角化戦略として展開中の水産・乳製品事業の赤字が継続している。過去に子会社が牛肉偽装事件をおこしている。
Opportunity:機会 消費者の安全性の高い国産志向が強まっている。豚や鶏の相場が上昇している。
Threat:脅威 消費の縮小、消費者の低価格志向が進展している。人口減少と少子高齢化による国内マーケットの縮小で、食肉相場の低迷も長期化している。

PEST分析

PEST分析

PEST分析とは、以下4つの単語の頭文字をとったものです。

  • Politics(政治的要因)
  • Economy(経済的要因)
  • Society(社会的要因)
  • Technology(技術的要因)

マクロ環境(外部環境)が自社にどのような影響を与えるかを分析し、主に新規プロジェクトを立ち上げる場合や、戦略の見直しを図る時に活用されます。

PEST分析を活用するにあたり気を付けたいことは、情報収集だけに終わらず、しっかりと考察して実務に生かすことです。

PEST分析を活用した成功事例:携帯電話業界

項目 概要
悩み スマートフォンの普及も落ち着き、爆発的な需要の伸びも見込めず、停滞期に突入しつつある
Politics:政治 携帯電話市場は、総務省による通信法が定められている。取り扱う通信キャリアは認可制。通信業界では、NTTのシェア率が高い。
また、認可制で海外企業の参入も遅く、日本の独自技術色の強い仕様が出来上がる。
Economy:経済 日本の経済水準が高いため、市場規模として成り立ちやすい。
政治的に通信などを開放しないという前提と十分な市場規模を確保できるため、キャリアが生き残れる。
Technology:技術 通信技術や携帯電話端末発達させを小さくする技術、バッテリー技術など、様々な技術が影響し発展を遂げ携帯電話が現在の形となった。
Society:社会 携帯電話の拡大が社会的価値観を核家族化、個人化に拡張させたという側面がある。

ファイブフォース分析

ファイブフォース分析
出典:BRANDINGLAB

ファイブフォース分析とは、以下5つの競争要因から業界の構造分析を行います。

  • 新規参入の脅威
  • 売り手の交渉力
  • 買い手の交渉力
  • 代替品の脅威
  • 競合との敵対関係

この5つの要因の力が強いほど業界の収益は少なく魅力のない業界といわれます。

ファイブフォース分析は自社の業界や市場において、有利な立ち位置を模索している時に有効的な分析です。

ファイブフォース分析を活用した成功事例:マクドナルド

項目 概要
悩み 低価格というブランイメージのため利幅が少ない
売り手の交渉力 マクドナルドは2800以上の店舗を有し、グローバルな供給先をたくさん持っているため、食肉加工業者や穀物商社の供給会社に対する価格交渉力が非常に高い。
買い手の交渉力 ハンバーガーを買う一般消費者。十分な情報を持っており、スイッチングコストもないため買い手の交渉力は強いと言える。
競争企業間の敵対関係 モスバーガーやロッテリアなど様々な競争業者がいるが、ファストフード業界の市場は成長を基調としているため競争は激しくない。
新規参入業者の脅威 シェイクシャック、カールスジュニアといったアメリカのチェーンが参入しているが脅かすまでには至っていない。
代替品の脅威 ファストフードはすべて代替品といえる。コンビニなどの伸長も脅威といえる。

戦略の方針を決めるためのフレームワーク

戦略の方針を決めるための代表的なフレームワークは下記の4つです。

  • STP分析
  • 4P分析
  • 4C分析
  • AISAS

それぞれの4つのフレームワークついて詳しく説明していきます。

STP分析

STP分析

以下4つの視点から自社の商品を分析し、ターゲットとなる顧客層を知りたいときに活用します。

  • Segmentation(セグメンテーション)
  • Targeting(ターゲティング)
  • Positioning(ポジションニング)

ターゲットを絞り込み、自社の商品やサービスを届けることを目的としています。

STP分析を活用した成功事例:パナソニック

項目 概要
悩み ビジネスユースに特化している
Segmentation 法人
Targeting 法人かつ外回りの営業
Positioning 軽さを実現するために「薄さ」を捨てた。外回りの営業に求められる機能にこだわった。

レッツノートは大ヒットになり、日本市場のシェアは2013年には38%となり9年連続の首位となり絶大な支持を得ている。

4P分析

4P分析表

4P分析とは4つのマーケティング要素の視点から、最適なマーケティング戦略を練る分析方法です。

  • Products(製品)
  • Price(価格)
  • Place(流通)
  • Promotion(プロモーション)

商品を誰にどこでどのように売るか戦略を練ります。この4つの要素の整合性が取れていることが商品を作る上で大切だといわれています。

4P分析を活用した成功事例:ユニクロ

項目 概要
悩み 低価格、良く悪くもない品質、それなりのデザインが定着していた
Products:製品 低価格で高品質、洗練されたベーシックなデザインに加え機能美
Price:価格 手頃な値段で高品質
Place:流通 海外633店舗という多店舗展開
Promotion:プロモーション その時一番売りたい主力商品を絞り込み、メディアを駆使したクロスメディア戦略。

売上高が1兆6,000億円、店舗数が世界に3,000店舗弱となるグローバル企業へと成長した。

4C分析

4C分析とは、上で説明した4Pと対になるフレームワークです。4Pが企業側の視点なのに対し、4Cは消費者視点で考えます。下記が消費者目線の4つの要素です。

  • Customer Value(顧客にとっての価値)
  • Customer Cost(顧客が費やすお金)
  • Communication(顧客とのコミュニケーション)
  • Convenience(顧客にとっての利便性)

4Pと4Cは検討する項目は一緒ですが、視点が違ってきます。商品を売りたいのであれば消費者の立場になって考えるようにしましょう。

4C分析を活用した成功事例:ドモホルンリンクル

項目 概要
悩み 使用すれば良さがわかるが最初の一歩が難しい
Customer Value:顧客にとっての価値 顧客の年齢肌にあった化粧品
Customer Cost:顧客が費やすお金 高額商品
Communication:顧客とのコミュニケーション オペレーターが問い合わせに丁寧に対応
Convenience:顧客にとっての利便性 通信販売で店舗に出向かなくていい

AISAS

AISAS
出典:Workship MAGAZINE

AISASとはインターネット普及後の顧客の購買行動を表すビジネスフレームワークです。

消費者は商品を認知してから買うまでの行動があり、AISASは5つの行動モデルの頭文字をとったものです。その5つとは下記の行動になります。

  • Attention(認知・注意)
  • Interest(興味)
  • Search(検索)
  • Action(購買)
  • Share(情報共有)

このフレームワークを活用することでより現代に適した戦略が立てられるかと思います。

AISASを活用した成功事例:コーセー

項目 概要
悩み 新商品の認知度が低い
Attention:注目 CMの配信で消費者から注目を浴びる。新垣結衣さんがCMに出ているため認知度もアップ。
Interest:興味 8種のオーガニック成分配合。傷んだ髪に効果が期待できる成分を配合。
Search:検索 公式サイトや体験者の口コミをチェック。
Action:購買行動 手軽にドラッグストアで買える。
Share:情報共有 「話題のシャンプー使ってみた」とSNSに投稿しよう。

戦略を実行に移すためのフレームワーク

マーケティング戦略の方針を決めるフレームワークについて説明してきましたが、次に必要になるのは戦略を実行に移すフレームワークです。

戦略を実行に移すための代表的なフレームワークにはPDCAがあります。戦略の方針を決めるフレームワークとは違い、経営を進めていくのに重要なフレームワークです。

そのPDCAの詳細や成功事例について詳しく紹介していきます。

PDCA

PDCAサイクル
出典:FULL HOUSE

PDCAは品質管理手法の考え方として生まれましたが、今ではビジネスにおけるマネジメント手法としても用いられています。

PDCAとは、以下4つのサイクルの頭文字です。

  • Plan(計画)
  • Do(実行)
  • Check(評価)
  • Action(改善)

このサイクルを繰り返し行うことで経営を進めていくという考え方です。

PDCAを活用した成功事例:営業マンが新規受注件数を増やす

項目 概要
悩み 売り上げ成績に悩んでいる
Plan:計画 1ヶ月後には、新規企業の広告掲載を10件受注する
Do:実行 明日の業務終わりAさんに協力を仰ぐ、来週Bさんに協力を仰ぐ、論理的な本を1章読むごとにその日の商談で実践する、エクセルVBAの本を1日10ページ読む
Check:評価 ゴールの達成率を調べる、DOの達成率を調べる
Action:改善 評価の結果を踏まえ、改善案を考える

まとめ

たくさんのフレームワークをご紹介してきました。マーケティング活動において、フレームワークを知ることはとても重要なことになります。

日頃からたくさんのフレームワークの事例に触れ、いざという時にいつでも活用できるようにしておきましょう。マーケティングは日々進化していくものです。

その進化に合わせてマーケティング戦略も変化していきます。その変化に対応できるよう日々学んでいきましょう。

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