アトリビューションとは|広告の間接効果を計測する5つのモデルを解説

アトリビューションとは

インターネット広告を閲覧したユーザーが購入などの決定に至るまでには、さまざまな接点が発生します。ユーザーとの接点には、成果に直接かかわるものだけでなく、間接的にかかわる接点もあり、これら2種類の接点の数は非常に膨大です。

例えば広告を見てから商品を改めて検索し、ブログやSNSで評判などをチェックするケースでは、ブログやSNSが間接的な接点になります。

アトリビューションの考え方では、広告の閲覧から購入に至るまでの経路上にある複数の接点を評価し、それを「貢献度」で表すのです。

アトリビューションの役割

掲載したインターネット広告と成果の関係を精査するにあたっては、成果に至るまでの経路の仕組みを精査しなければなりません。この経路のなかには上述した2種類の接点があり、特に成果に間接的な影響をおよぼした接点は、その数も多いことからより綿密な分析をする必要があります。

アトリビューション分析を行うと、経路上に存在する接点のなかでも、特に間接的につながる接点が成果に対してどれくらい貢献したのかを分析することができます。これにより、成果への貢献度が分かりやすい直接的な接点だけでなく、分析の難しい間接的な接点と成果の関係を明確化することが可能となります。

アトリビューション分析のモデル

アトリビューションの考え方にもとづいて各接点の貢献度を明確化するためには、複数の分析モデルのなかからその都度最適なものを参考にすることが大切です。

アトリビューション分析の代表的なモデルには主に5つのものがあります。次でひとつずつご説明します。

  1. ラストクリックモデル(Last Interaction model)
  2. ファーストクリックモデル(First Interaction model)
  3. 線形モデル(Linear model)
  4. 接点ベースモデル(Position Based model)
  5. 減衰モデル(Time decay model)

ラストクリックモデル(Last Interaction model)

最も分かりやすい成果との接点としては、「成果に直接かかわる接点」が挙げられます。例えば、インターネット上でとある広告を見た人がそれをクリックし、遷移先でその商品を購入した場合、この広告は直接の接点となり、成果に対して最も大きな影響を与えたと判断できます。期間限定キャンペーンなどの分析に適しています。

ラストクリックモデルは、このような直接の接点となった広告に貢献度を100%付与するモデルで、5つ分析モデルのなかでは最も構造が単純なモデルであるといえます。コンバージョントラッキングにおいて一般的に最も多く採用されています。

ファーストクリックモデル(First Interaction model)

商品を購入する際には複数の広告や販売ページを遷移し、最終的に最もよいと思えるものを購入するという経緯を辿るケースもあります。このような成果に至る経路上に複数の接点があるケースにおいて、最初の接点にすべての貢献度を付与するモデルをファーストクリックモデルと呼びます。

このモデルには、既にその分野の商品に興味を持っている人ではなく、全く興味を持っていない新しいユーザーの獲得につなげられるという点が魅力となります。立ち上げたばかりのブランドをアピールするようなケースに適しています。

線形モデル(Linear model)

直接・間接を問わず、経路上にあるすべての接点に対して同等の貢献度を付与する分析モデルを線形モデルと呼びます。このモデルでは、ユーザーが商品に対して興味を持った段階から、実際に商品を購入するまでに生じたすべての接点に価値を見出すということが基本的な考え方となります。

このモデルでは、どの接点が効果的であったのかを調べる上で十分な情報が必要となるだけでなく、必要のない接点を限定するのが難しいというデメリットがあります。

接点ベースモデル(Position Based model)

経路上に存在する最初と最後の接点に対して40%の貢献度を付与し、残りの接点に対しては60%の貢献度を均等に付与するモデルは、接点ベースモデルと呼びます。この分析モデルでは、ユーザーが認知した接点とコンバージョンに直結した接点を大きく評価しています。

このモデルではすべての接点に価値があるとする一方で、最初と最後の接点にはより大きな価値があるとする考え方が基本となるため、上述した3つの分析モデルのハイブリッド型モデルということができます。

減衰モデル(Time decay model)

すべての接点に貢献度を付与する減衰モデルは、線形モデルや接点ベースモデルに似ている部分もあります。しかし、減衰モデルでは成果に直接影響を与えた最後の接点の比重を最も大きくし、最初の接点に向かうにしたがって貢献度の割合は小さくなります。

よって、減衰モデルではユーザーによるラストクリックを重視しつつも、全体を俯瞰することで比較的慎重な分析ができる点で特徴があり、接点ごとの貢献度の違いを明確化することが可能です。

アトリビューション分析が有効なケース

アトリビューション分析は万能な分析方法ではなく、ケースによってはそもそもこの分析方法自体が向かないこともあります。以下にアトリビューション分析が向くケースをリストアップしましたので、アトリビューション分析を実行することを検討する際には、これらのリストと照らし合わせてみてください。

  • コンバージョンまでに複数のチャネルを経由している
  • 指名検索の割合が高い
  • リターゲティング広告の成果は増えているにもかかわらず、サイト全体の売り上げが伸びない
  • コンバージョンに繋がったキーワードが偏っている
  • 現在のモデルとその他のモデルで差がある

Google広告のアトリビューション分析

Googleでは検索画面において検索キャンペーンやショッピングキャンペーン、動的検索広告などの「検索広告」の表示を行っています。この検索広告では商品の宣伝だけでなく、アトリビューション分析も行うことができ、多くの企業がその機能を活用しています。

Google広告に搭載されたアトリビューション モデリング レポートを利用すると、広告に対して行ったアトリビューション分析の結果をレポートにて確認することが可能です。これにより、自社が出稿した広告が成果に対してどのような接点を持ち、各々がどれくらいの貢献度を得たのかが分かるため、企業側はより効率的な広告の出稿方法などを再検討することができます。

また、アトリビューションレポートでは、現行の分析モデルとその他のモデルを比較することもできます。この機能を活用すれば、現行モデルの問題点や無駄を把握できるだけでなく、その他のモデルの利点も把握できるため、形態の異なるそれぞれのモデルが成果に対してどのような影響を与えるのかも分かりやすくなります。

以上のことから、Google広告に搭載されているアトリビューション分析機能では、複数のモデルを比較・検討し、商品の性質やユーザーの動向に合わせた最適なモデルを採用できるというメリットがあるといえます。

GoogleAnalyticsのアトリビューション分析

上述したGoogle広告で活用可能な分析機能は、Googleで出稿している広告だけが対象となります。そのため、Google以外のプラットフォームでも広告を出稿している企業にとっては、部分的な分析しか行えず、出稿規模によっては不十分となってしまうかもしれません。

そのような場合は、Googleが提供する「GoogleAnalytics」でアトリビューション分析を行うのがおすすめです。GoogleAnalyticsには「カスタムパラメータ」を設定できるという独自のメリットがあります。このカスタムパラメータ機能では、媒体名やメディアを指定してユーザーの流入経路を分析することができるため、多くの接点を精査するアトリビューション分析においては非常に有効な機能となります。

また、GoogleAnalyticsのカスタムパラメータ機能では、Google広告以外のチャンネルも含めたクロスチャンネル分析が行えるというメリットもあります。そのため、複数のプラットフォームにて広告を出稿している企業にとっては、GoogleAnalyticsの分析システムのほうが、より有益であるといえるでしょう。

なお、GoogelAnalyticsのカスタムパラメータでは、スマートフォン向けアプリやメルマガなども分析対象とすることができます。そのため、多種多様な広告を出して宣伝を行っている企業ほど、この機能は有意義な存在であるといえます。

まとめ

Web広告の効果をより上げるためには、最初のきっかけからコンバージョンまでの経路において、さまざまなユーザーとの接点をする必要があります。そのためには、アトリビューション分析で成果的・間接的な経路上の接点を見つけて、接点を貢献度で評価するとよいでしょう。

この分析方法には主に5つのモデルがあり、各々が適するケースのみにおいて実行することが、精度の高いデータを収集するためのコツとなります。一方、分析の精度を上げるためには「Google広告」や「GoogleAnalytics」を活用してアトリビューション分析を行うのもおすすめです。

 

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