株式会社バルクオム Domestic SBU/Division Director 高橋文人 氏
PROJECT GROUP株式会社 取締役代表 田内広平
累計250プロジェクト以上、累計売上改善100億円以上の実績を持つグロースハック企業・PROJECT GROUPが提供するワンストップサービス。
国内トップクラスの粒度で設計するGoogleアナリティクスベースのデータマーケティング基盤の構築、ユーザー行動データの分析によるサービス・プロダクトの課題抽出および仮説設計、改善施策立案からABテスト実行、データによる各マーケティング施策の効果測定までフルサポート。
コロナ初期から開始している改善プロジェクトでは、クライアント社内での改善チームの立ち上げ・教育にも成功し、
【事例①】サイト改善でCVR150%、売上1億円以上の改善
【事例②】CRM強化でCV数1200%、CPA1/200の改善
など、投資対効果が数倍~数百倍といった大きな成果にも繋がっています。
目次
国内成長率No.1メンズコスメブランド"BULK HOMME"とは
田内:本日はDr.CMO契約の継続(更新)を頂いたということで、㈱バルクオムの高橋ディレクターにインタビューのお時間を頂きました。本日はよろしくお願いします。
高橋:いえいえ、こちらこそよろしくお願いします。
田内:では、まず本題に入る前に「メンズコスメ業界の風雲児」とも言われるコスメブランド”BULK HOMME”について、読者向けにさらっと教えてもらえますか?
高橋:BULK HOMMEは、「Face」「Hair」「Body」の3つの軸で商品を展開しており、メンズコスメのグローバルスタンダードを目指しています。
田内:確かにグローバル積極的に攻めてますよね。ちなみに一見するとハイブランド寄りに見える気するんですが、スタンダードってことは一般消費者向けなんですか?
高橋:目標は「グローバルシェアNo.1」に置かれています。なので、ハイブランド化によって特定のポジションを確立してしまい「変にお高く留まる」みたいなコトが無いように気を付けてます。
成長が鈍化してしまうので、あくまでも「メンズコスメのベーシック」。それによる「グローバルシェアNo.1」。これがブランドの目指すところになります。
田内:僕がBULK HOMMEというブランドを初めて知ったのがクラウドファンディングなんですけど、どういう経緯で誕生したんですか?
引用:LOFT
高橋:代表の野口が様々な事業を行った経験から、”グローバル展開”ができて、”シェアNo.1を目指せる業界”という条件で考えた結果、メンズコスメに辿り着きました。当時、グローバルで見ても「メンズコスメブランドといえば?」という問いに即答できなかったのも大きな理由ですね。
田内:なるほど。でも、あの当時から考えるとかなり有名になりましたよね。この辺の実感はありますか?
高橋:そうですね。ただ知名度だけではなく、事業もしっかり伸ばせているのかなと思います。
田内:ちなみに、ここ1年ぐらいでメンズコスメ業界の競合他社がかなり増えてる印象ですけど、新興ブランドが上手くいってるって話を聞かないですね。
実際、うちらの業界柄BULK HOMMEのパクリ商品のマーケティングオファーが来ますけど、上手くいってるところ無いんじゃないかってレベルですね。
高橋:パクリ商品なんてあったんですね(笑)
田内:いや、普通にありますよ。
高橋:でも、まあ市場がまだまだ発展途上ですからね。各社試行錯誤するし、落ち着くまでは競合も増え続けると思うんですよ。
田内:これだけ先を走れてるのって、他のメンズコスメ企業と何が違うんですかね?
高橋:先行者としての知見やノウハウを得た状態で、引き続き投資を行ってる点ですかね。顧客体験を高める。ブランドを高める。価値が高まるっていう好循環が出来てきていると思ってます。
7年間かなり多くのPDCAが回ってて、これだけにコミットした珍しい会社なので、それによって生まれたプロダクト全体の品質じゃないかとも思ってますね。
田内:なるほどなぁ。確かにプロダクトにコミットしないと品質は上がってこないし、何よりファンが作れるところまで行き着かないですもんね。
高橋:そうですね。なので、弊社の商品は企画から販売開始までかなりの時間を掛けています。例えば「THE SHAMPOO(シャンプー)」なんかは、構想から5年は掛かってます。
田内:5年はエグいっすね。
高橋:さらに、実際に発売する前には必ずブラインドテストを実施して、1位を獲った状態になってからリリースしています。
田内:まぁある意味「覚悟」が違いますね。だって、新商品リリースって売上に一番インパクト与えやすい施策じゃないですか。それを良い商品に仕上がるまで出さないってのはある意味で異常な戦略ですからね。
まぁ個人的には品質に拘ってくれる方が、圧倒的に売りやすくなるのでありがたいんですけどね。
高橋:ありがとうございます。まぁそういう意味では、ラインナップを高速展開するというよりは、本当に自信のあるものを磨いてから打ち出していくっていう戦略で動いていますね。
ネットだけじゃない?地上戦が勝敗を分けるD2Cの最前線とBULK HOMMEが打つ一手
田内:商品開発の戦略が一騎当千コンテンツを作っていく事だとして、販売戦略はどう考えてるんですか。今まではYouTubeでめちゃめちゃ広告出してたじゃないですか?今度も同様にガンガン攻めるんですか?
高橋:YouTube広告は継続ですね。LTVも悪くないですし、何より認知効果が大きかったですね。
でも、今はTVCMも平行して露出することでより効果的な認知拡大を狙ってる感じです。今はブランドワードを伝えるCM構成になってますが、認知キャズムを越えたら便益訴求の発信に切り替えていきたいですね。
基本はオフライン広告でドカっと認知取って、Web広告で刈取っていくという方向性で考えてます。
田内:なるほど、大手ブランドがやる認知施策とD2CメーカーがやるWebマーケティングのミックスっすね。
あと最近だとホテルのアメニティ提供とかも積極的にやってますよね。ここまで地上戦してるメンズコスメブランドも他に知らないんですけど、これもスタンダードブランドを目指す上での一手なんですか?
高橋:そうなんですよ。あくまでいくつかある打ち手の1つとしてですが、顧客との接点回数を増やしていくっていう趣旨ですね。
田内:最近だとシャンプーの売れ行きもすごいし、既に競合を圧倒するぐらいの認知度を持ってるイメージですけど、まだまだ足らないってことなんですね。
高橋:認知度調査とか購入率調査して見た限り、まだまだ上は有るなって認識ですね。
田内:そう考えるとやっぱメンズコスメの潜在市場規模はかなり大きいですね。
高橋:そうですね。まだまだ先は長い…。
Dr.CMOの価値と課題点
田内:では、そろそろ弊社で提供させて頂いている”Dr.CMO”についてのレビューを伺えればと思います。特に強烈なダメ出しとか期待しています。
高橋:強烈なダメ出し(笑)
田内:ということで、Dr.CMO導入で何か変化ありました?ぶっちゃけベースでも全然構いませんよ(笑)
高橋:喋りにくいなぁ(笑)
そうですね。サービスサイト(公式ECサイト)については、CVRも売上も分かりやすく向上してたので、導入後レポートで頂いている内容のとおり「効果あったな」という認識です。
ただ、それ以上に社内的にサービスサイトの認識が変わったことが大きいと考えています。
田内:というと?
高橋:元々、弊社の社内ではサービスサイトは「ショッピングサイト」ではなく、「ブランドサイトにショッピング機能が付いている」ぐらいの位置付けだったんですよ。そのせいもあって、ブランディングとマーケティングの双方で食い違いが起きてたんですよね。
田内:あるあるですね。実際に僕らが入った時もブランディングとの兼ね合いから「サイト内の英語表記を日本語に替えさせてもらえない」っていうのがありましたね。正直、あれはしんどかったです(笑)
高橋:そうでしたね(笑)やっぱりマーケティング視点から見れば効果の高い施策でも、ブランドの世界観で考えるとNGになるケースもありましたからね。
田内:サービスサイトの目的意識の統一ですね。
高橋:そうですね。本来の目的はスタンダードブランドと言えるぐらいに売れることだし、あくまでそのための施策ですからね。「ブランディング」と「マーケティング」という視点は混同しがちなので、そのピントを合わせられたのは大きいと思います。そういった意味でも、Dr.CMO導入後には大きく変わりましたね。
田内:嬉しいお言葉ありがとうございます。
引用:BULK HOMME
高橋:今では頂いたデータや見解、仮説を色々協議して、最終的に「ブランドサイト」じゃなくて「ショッピングサイト」っていう名称で統一されて、PDCAを回すのが格段に楽になりましたよ。
それに他社のツールだと見れない粒度で分析してもらっているので、意思決定の際に「明確なデータ」という指標が使えるようになったのも大きいですね。他にも「Googleアナリティクスってここまでデータ出せるの!?」みたいな驚きもありましたよ。
田内:本気でGoogleアナリティクスを使えるようになると、かなり深いデータでも読めますからね。
高橋:データって「このデータが意味するところは?」みたいな解釈の余地が結構あるじゃないですか。その後データをどう使っていくかまで明確だったのが良かったですね。
田内:そうですね。データって出しただけでは事実を数値化したモノでしかないので、データそのものに価値は薄いんですよね。重要なのは「そのデータをどう読むか」なんですよ。
でも市場に出回ってる分析ツールって基本的には「データを出す」ことに特化してて、「このデータから〇〇個の仮説が想定でき、各仮説に対して△△って施策を試して、◇◇という着地に本当になるのか検証しましょう」ってことまでフォローアップされないですからね。
高橋:まさにそうですね。これまで色々ツールは試しましたけど、社内にデータを扱える人間が数限られていたのもあって、事業を推進しながらデータ分析を細かくやる時間もありませんでしたからね。
そもそも頂いているような細かいデータまで落とし込むにも、Googleアナリティクスの専門知識とか技術が必要になりますしね。
田内:ちなみにデータアナリストを採用するって考えはなかったんですか?
高橋:「欲しいなぁ」と思ったことは何度かありますし、実際に検討もしたことあります。でも「データ分析専任で雇っても、そんなに仕事ないんじゃないか?」って思ったんですよね。
田内:あー、確かに。弊社でもアナリスト1人当たりで5~6サービスは担当しますからね。1人専属にしても余程巨大なサービスじゃないと工数持て余しそうですね。
高橋:そうですよね。それに社内各所でデータを使う文化がないと、出す側が能動的にデータを出して推し進めないといけない。でも出したら出したで各所各人がそれを有効活用してくれるかは、また別の話じゃないですか。
田内:要は改善実行までのフルディレクションスキルありきじゃないとデータアナリストは意味ないと。
高橋:そういう事ですよね。だから、データ分析の能力以外にディレクションや改善の推進力が必要になってくると思うんですよ。
田内:これはコアな話ですね。データアナリスト自身が計画・企画・指揮・分析の全部ができないと、費用対効果やアウトプットパフォーマンスが良くならないってことですもんね。そんな人材早々いないですし、いてもCMOクラスの逸材ですからね。
高橋:そうなんです。「超ハイレイヤーじゃん!」みたいな。
なので、ある程度の期間やプロジェクトで絞り込んで貴社みたいなスペシャリストに委託した方が、弊社みたいな規模の会社は全然コスパ良いなと思いますね。
田内:なるほど。そういう見方はあまりしてなかったので参考になります。ところで、ここまでディスが全然ないんですが、なんかないですか?
高橋:ディス…すぐにホームラン打ってくれなかったこととか?(笑)
田内:精進します…。
高橋:まあ、強いて言うなら、すごく工数が増えたことですね。とはいえ、それって本来必要なコトをやっていなかったツケではあるんですよ。
田内:どういうことですか?
高橋:Dr.CMOを導入した結果、すべきことが明確かつデータに基づいて証明されるので、「やらない」という選択自体が怠慢になる。つまり強制的にやらないといけなくなる。しかも、貴社ってすごいお尻を叩いてくるじゃないですか。
田内:叩きますね。意思決定とか社内調整がいつまでも終わらないと、プロジェクト期間中に成果が出せなくなりますからね。それに結果として「Dr.CMO微妙じゃない?」って言われるの絶対嫌なんで。
高橋:逆に弊社側が貴社のスピードを阻害してしまっていたという反省はありますね。他の代理店さんとかと比べても圧倒的にお尻を叩いてくれるので、そこはポジティブですよ。
田内:それは他社からも結構言われますね。僕らの仕事って「分析して終わり」だとしたら価値ないと思うんですよ。でも実際問題として市場感はそうなっていない。だからこそ、僕らが率先してコアバリューを改善するつもりでやってますね。
高橋:それこそ、その辺は「覚悟」が違うなって思いました(笑)
田内:ありがとうございます。他にもっとマイナス点などあればお聞かせください。
高橋:そうですね。これは要望ですけど、社内でデータマーケティングの研修をしてもらいたいですね。マーケティング経験者であっても、データの取り扱い方や推進力が低いことは多いと思うんですよ。
田内:なるほどですね。ちょうど顧客の大手化粧品メーカーさんからも同じ打診を受けてたので社内で話してました。以前、Googleとやったセミナーや博報堂コンサルティングさんから依頼された社内研修も反応が良かったので、更新いただいてるクライアント様向けに特別実施するとかはアリですね。
高橋:お、であれば是非お願いします!
今後の改善課題とデータマーケティングの活用
田内:最後に、今後も一緒にプロジェクトをやっていくわけですが、今後のマーケティング課題ってどう考えてます?
高橋:サイト改善の面で言えば、貴社からのレポートでもご指摘いただいてますが「定期購入導線の最適化」ですね。「定期、定期」っていってる割に、定期購入への導線が全然最適化してないのは明確な課題だと思ってます。
田内:確かにこれまでの改善で購入率も件数も伸びましたけど、定期へのアップセルみたいなCRM施策はここからですね。
高橋:まさにそうですね。やるべきことがやり切れてない部分ですね。
田内:それも課題はリソース的な話ですか?
高橋:そうですね。
田内:まぁ今はどこもCRM系のリソースが不足してますからね。
最近の話ですけど、複数のクライアントから「CRMの担当者を採用しました!」って言われたんですよ。で、実際にその担当者と話したんですけど「前職ではCSやってました」「LINE@の配信コンテンツ作ってました」とかばっか。「それCRMじゃなくね?」って思うこと多いんですよ。クライアントにはそのまま言っちゃいますけど。
高橋:いわゆるマーケティング的な目線で利益インパクトのある事をやらないと意味ないですからね。
田内:そうなんですよね。CRMってマーケティングの一貫だし、一番難易度高い部類なので歴戦の勇者みたいな人じゃないと厳しいんじゃないかっていう。
高橋:それこそ、今採用を強化しようとしてて。結局、デジタルマーケティングの新規獲得もやってて、かつCRMも見ていた経験のある人が適任な気がするんですよね。
田内:それって結構ハイレイヤーですよね。他に課題感あります?
高橋:あとはデータの活用面ですかね。
田内:データの活用面っていうと?
高橋:今回の経験を踏まえて、マーケティング視点で見るべきデータがもっとあるんじゃないかと考えているのがひとつ。あとは社内的な事情で言うと、やっぱりデータ慣れしてないという課題のところですかね。
田内:なるほどですね。これまで出してきたモノ以外に「こういうデータが見たい」とかあります?
高橋:それで言うと「ユーザー行動から傾向を抽出したい」というのはありますね。
今は「Face」「Hair」「Body」の3軸展開ですけど、戦略的には「Face」「Hair」の新規獲得を積極的に狙おうとなっています。定期コースの中には「Face & Hair」のダブル定期もあるんですが、このダブル定期に契約をしたユーザーデータから傾向を測りたいですね。"「Face」から入って3回購入したユーザーにオファーした方が「Face & Hair」のCVRが高い"とか。
こういった参照元によって、クロスセルやアップセルの傾向が異なることが分かるデータが導き出せれば、アップセルページに出すコンテンツもデータドリブンに作れるんですよね。
田内:それは大事ですね。アップセルページってことはThanksページも含まれると思いますが、その辺りはどんなコンテンツを置くかで売上が大きく変わるので無作為に配置はしたくないですね。そういう意味でも御所望のデータは出せるので言ってください。
高橋:ありがとうございます。是非お願いしたいですね!
田内:あとは先ほど言っていた「社内的にデータ慣れしてない」というのはどういうことなんですかね。そもそも僕らが出したデータって高橋さん以外で使われてます?
高橋:あんまり使われてないんだろうな。僕の中では「あぁ、そうなんだ」って噛み砕いてるんですけど、自分の管轄外のデータに興味が無い感じは社内にまだありますね。なので、見れる人が見てるって感じになっちゃってます。
田内:これはやっぱり研修が必要ですね(笑)
高橋:ハイ、お願いします(笑)
田内:まぁでも僕らとしても、データを色々な確度から分析できる方がクライアント側に何人かは居て欲しいですからね。
やっぱり実際にプロダクトインしてる人と、外から客観的に見てる人だと解釈が異なるんですよね。本来は両方いるべきだし、その上でデータを基にした議論が望ましい。
高橋:そうですね。見れない人にこちらが「見て!」と押し付けても結局見ないし、自発的にデータに触れる面白さを覚えて欲しいんですけどね。
田内:高橋さんは最初から自然にデータ見れてたじゃないですか。それはやっぱ前職でそういう経験をしたからなんですかね?
高橋:あ、そうです。結局どこが悪いのかを探し当てるのに一番大事なのがデータ。あと数的な論拠があれば変な感情論に巻き込まれないっていうのもありますね。
田内:なるほどですね。